・・・・ずっこけ裏話・・・・

☆初めて望遠鏡を購入した頃
その@
 
 私が初めて手にした望遠鏡は、ジュピター110Mという11cmの反射式望遠鏡です。

 購入の品が届き何の知識も無い私はそれを見て驚いた。「アレ・・、レ・レ・レンズが無い!販売店で

入れ忘れたのか・・・!」。

 しかし私はまもなく気が付いた。筒の中を覗き込んだら底に鏡が入っていた。「ああ、これが反射式

望遠鏡という物か・・、納得」。


そのA 「星の写真にフィルムは何を使えば良いのかな?きっと夜だから特殊なフィルムだろうな。」と思っ て、写真屋さんで聞いてみたら(デイライトタイプ)を渡された。「えー、何で。デイライトって昼間 ってことじゃぁないの?」、いまだにスンナリしない言葉です。サンライトのほうが良いのでは・・・。
そのB 真冬のド寒い中、一晩中星の撮影に専念する。寒さより写真への期待の熱のほうが上回っている。  次の日、写真屋さんでプリントしてもらいそれを見て・・「あ然!」、全てピンボケで星がカメレオ ンの目玉のよう・・・なのだ。スパイダーの影がしっかりと写っている。「な、何で・・あんなに苦労 して撮ったのに・・・。」検討した結果、おそらくピント出しのスリガラスの裏表を間違えたらしい。 もうこんなの二度と嫌だ〜。
そのC 天体写真を始めた頃、実家の畑の真中で撮影していた。夜中になると毎回のように「タヌキ」が現れ るのだ。手を伸ばせば触られそうな所まで来る。私には何の興味も示さず、ただ餌を探しているのか 地面をはいずり回っている。あのタヌキ、まだ生きているのかなあ〜。
☆山へ遠征するようになって
そのD やっぱし美しい写真は山でなくっちゃ・・・。ということでいつの日か山へ撮影しに出かけるように なった。いつものように山へ行き頂上手前にさしかかった時、猿の集団に出くわした。およそ10匹 ぐらいかな、「ギャーギャー、ヒーヒー」言ってこちらをうかがっていたが、すぐに山の中に隠れた のでそのまま撮影場所まで行った。出会った猿の集団から撮影場所は300メートル程度しか離れて いない。夜食も少々持っていたので襲われやしないか、と落ち着かない一夜の星撮影だったのだ。
そのE 星撮影が終わり朝山道を下ってくると何とイノシシだ。イノシシは大あわてで走り出した。だが、そ こは崖道で上も下も逃げ場がない。ひたすら道を必死で走り、私は車でその後を追う。楽しい運動会 であった。
そのF ちょっとやばかったお話。あれは確かヘールボップ彗星最後の撮影に、と山へ出かけた。しかし、雲 が出てしまって撮影を断念。仕方なしに山道を降りることにした。ある山道の真中に石の塊が転がっ ている。登って行く時もあったが、またいで通過できたので今度も勢いよくまたいだら、何と車の燃 料タンクにおもいっきり当たったのだ。するといっきに燃料が流れ出した。「ワー、ヤバイ!!」私 はパニクッた。  「こんな山の中では助けも呼べない。燃料があるうちに山を下ってしまおう。」と燃料垂れ流し状 態で山を降りたのだ。燃料メーターが見る見る下がっていき私は非常に焦った。何とか公衆電話まで たどり着き助けを呼んだ。レッカー車の迎えに来るのは朝の7時頃だという、今は夜中の2時、その 間なんと長かったんだろう。今思い出してもぞっとする出来事でした。
そのG 静岡は井川高原、やっぱり今年も来てしまった。何故だかここが好きなんだなあー。ノンビリとした 静かで落ち着いた雰囲気、ここに来れば何か1つは良いことがある。  ここには食堂もある。夜は無人だが昼間は食事が出来て大助かりだ。料理をしてくれるここのおば さんとも知り合いになり、「今夜は晴れるよ・・・、星撮影頑張ってね。」と。こんな親切で有難い お言葉、他ではまずあり得ない。  夜になり案の定満天星夜だ。コスモスの咲いている野原で「よし、今夜はコスモスを入れての星景 写真だ!」。快調に何枚か撮っていた。すると、向こうから何か黒い大きな物体がノソノソと接近し て来るではないか?!「フガ、フガ」と鼻息も荒い。何だあれは・・」、暗くて良く見えない。まさ か熊か・・・!?  冷や冷やしたが、すぐ近くまで来て何だか分かった。それは牛だった。そういえばここは牧場だ。 夜中でも牛は人の気配がすると近づいて来るらしい。5〜6頭になったが皆おとなしい牛達ばかり。 星空の下で牛達のシルエット・・・、この雰囲気がまた何ともノドカで良い感じ・・・。」でした。
そのH カノープス撮影失敗談⇒カノープスは南超低空に現れシリウスに次いで全天で2番目に明るい星 で有名だ。  よし、今夜は海から昇り海へと沈むカノープスの光跡を撮ろう、とすぐ前の海岸へと出かけた。 砂浜に生えていたユッカの木を入れて構図も決まり、さあ露光開始だ、とシャッターを開けた。ま だ目的のカノープスは見えないがそろそろ出て来るだろう、オリオンも昇って来たことだし・・・。 「アッ!! 火球だ」トビキリ明るい流れ星がカメラの方向で流れた。確実に構図内に入った。でも 絞りF、16だからなあ〜写らないだろう・・・。  この海岸は人は滅多に来ないし、来ても夜だから真っ暗だし大丈夫だろう、とカメラをそのままに して家へと帰ったのだった。  「星景写真は楽だなあ、撮影中はなーんにもしなくていいし」と、布団の中で横になっていたら何 時しか気分良く深い眠りへとグーグー・・・。 「あっ大変!!・・」、と飛び起き、時計を見たら6時になろうとしていた。すぐにカメラの置いて ある海岸へとダッシュ。でも、もう時は遅し・・・、空はすでに薄っすらと明るくなり、東には朝焼 けも・・。「あーあ、なんてこった。これじゃあ、真っ白な写真になっちゃうよおー」と、頭の中も 真っ白。この時の撮影露光時間は最長新記録・・何と9時間・・でした。
そのI 久々に赤道儀を持って山へ出かけた。「マックホルツ彗星」が明るくなってきたのでその写真を撮 りに・・・。 夕方現地に着き、「おー良く晴れている、星も綺麗だ」。機材を組み立て彗星が昇って来るのを待 った。  南の方から怪しい雲、イヤな予感が的中し瞬く間に曇り空となった。空の様子をみようとしばらく 待ったが雲はいっこうに取れない。仕方なくせっかく組み立てた機材を片付けスーパー林道を南に下 った。  車でしばらく走り一本杉という所に着いた。「おー、ここは雲が無く良く晴れている。」目的の彗 星も空の上に昇って来た。「よし、撮るぞー!」と、再び機材を組み立て準備完了。そして赤道儀の スイッチON。「アレッ、電源が入らない!なぜだ?なぜだ?」何度やっても電源は入らなかった。 「エーイ、赤道儀のパネル盤を開けてしまえー」とちっちゃなネジをドライバーで回した。「何かネ ジを落としそう・・」と思いきや、やっぱり落とした。真っ暗闇の中、懐中電灯で地面を照らしたら 偶然にもネジはすぐに見つかった。  続けてネジを外していたら、「アッ、また落とした」。「今度は見つからないかも知れない」と思 いながら探したが、うーん、見つからない。地面は土と小石で、ちっちゃなネジをその中から見つけ 出すのは至難の技。しかも夜ときている。一生懸命地面に懐中電灯を照らし顔を近づけて探していた。  車が1台、こんな真夜中に来て近くに止まった。それはアベックだった。車から降り「星が綺麗・・ !」と叫んでいたかとおもうと車の中に入り静かになった。 「アー、うるせえなあー、こんな時によりによってアベックとは・・。こっちはそれどころじゃぁ無い !ネジ探しで忙しいのじゃー」。何かイライラしてきた。  意地になってもネジを探したが、なかなか見つからない。あーくやしい!いくら探してもネジは見つ からず、ついにはあきらめてせっかく組み立てた機材も片付けた。するとアベックの車も去って行った。  「ああ、何かやたらと今日はくやしいなあ。なにもかもが・・・くそー!! このー!!」。  せめて心の慰めに、地面ばかり見ているのはやめて彗星をこの眼で見ておこう。」と手持ちの双眼鏡 で覗いたら、「マックホルツ彗星」のボーとした姿がよく見えていた。
そJ 冬休み最後の日の晩、「星野に浮かぶホームズ彗星を・・・」と撮影に出かけた。現地に着き空を見 上げると、「オー!冬の星々が美しい、冬の天の川も見える。  目的のホームズ彗星は・・・、オオー、まだよく見えてるな、これは撮影チャンス!」。急いで機材 を組み立て、その時気付いた。「ア!ガイド鏡が無い、忘れた!」でももうしょうがない。今日は標準 レンズでの撮影だから赤道儀任せで大丈夫だろう。星は流れないだろう。」と撮影を始めた。  ホームズ彗星のすぐ近くには星雲や星団がいくつもあって良い写真が出来そうだ。8カット目の撮影 が終了し、その時異変に気が付いた。「アレッ?星が移動しているぞ」。カメラのファインダーを覗い たら、撮影前にとった星の構図とずれているのだ。」それは何を意味するのか・・、それは赤道儀のモ ーターが止まっていることを意味する。「ギャァ!!失敗だ〜、今まで撮った全ての写真が全滅ぅ〜」。  「しかし、なぜモーターが動かないのだあ?スイッチの赤ランプは点灯しているのに・・・」。「も しかして、電池が無くなってきたかあー」と、新品の電池に替えてみた。でもやっぱり動かない。 「う〜ん、なぜだー?」。  そういえば、赤道儀のコントロールボックスは必要無いと思い、コードを差し込まなかった。「それ が原因かー」と思い、差し込んだらモーターが動き始めた。「そうだったのかあ、知らなかった」。  長年赤道儀を使っているが、この時初めて知った。でも、撮影はもう手遅れ。ホームズ彗星は山の向 こうへ隠れてしまった。  くやしかったので、朝日を撮影しようと海へと車を走らせた。  しかし、失敗はこれだけでは終わらなかった。次へつづく・・・。
そのK 海まではけっこうな距離だったが、やっとこさ着いた。もうすでに東の空は明るくなって薄赤く染ま っている。  カメラを三脚に乗せ、水平線から昇る日の出を待つ。まもなく朝日が顔を出しはじめ、シャッターを パチパチと切った。海鳥たちがあちらこちらに飛んでいる。太陽の前を通過する瞬間を狙って数枚パチ パチ・・・、「これはなかなか良い写真になりそうだ」。  そして家に帰ったのだった。  家に着いていっぷく。その時振り返って・・・、「お〜?? あれれ?!! そういえば俺、カメラ にフィルム入れたっけ?!記憶なーし」「肝心のフィルムをカメラに入れ忘れたあ〜」フィルムなしの カメラで一生懸命撮影していたのだった。またまた「ガクッ!!」  昨夜から今朝まで、まったく俺はどうかしている。こんなこと人には言えないよおー、おおー恥かし ・・」。
そのL 久しぶりに実家は掛川市の倉真で星撮影した。数年振りである。裏の畑で望遠鏡を組み立て狙いは木 星に・・・、近くには天王星も見えるはず・・・。天王星は初めての拝見だったので、楽しみであった。  畑の向こう側は山の斜面で茶畑になっている。その中で何やら「ガサガサ・ガサガサ」と音が聞こえ た。「うーん、何かいるな・・!?」。  「よくこの辺りはイノシシが出没してしょうがない。畑を荒らしまわって困っている」という話はよ く聞かされていた。たぶんあの生き物がそうか、と思った。  音は斜面の茶畑から下に降りて来た。「おおー!暗闇の中で薄っすらと動く物体が見えた」。私は一 歩一歩物体に近づいて、懐中電灯で照らした。そしたら目だけが光り輝き、こちらをジーッとにらんだ。 でも、あの生き物も帰れば子供たちがいるのかなあー?生きるためにみんな必死なんだろうな・・など と、いろいろ考えると憎めないんだよなあ。そんなこと言うと、農家の人たちには怒られるかも知れな いけど・・・。
そのM  2011年12月10日の皆既月食・・私は大いに期待していた。  月食はオリオン座のすぐ上、おうし座の隣、頭のほぼ真上で起こるという絶好の条件だ。私は1ヶ月 以上も前から「どう撮ろうか・・、どんな風に撮ろうか・・」といろいろ考えていた(そういう時が一 番楽しいのかも・・・)。  そしてついにその月食の日がやってきた。望遠鏡とカメラ6台、三脚5台、キャンプ用テーブルにラ ンプ、とあるもの総動員させ車に積み込んで撮影場所へ行った。  そしてまだ明るいうちに現地に着き、早々と機材を組み立て(これがけっこうめんどうくさい)月食 を待った。しかし、今夜はけっして良い天気とは言えない。昨日までは雲一つ無い快晴、明日も快晴と 言う、今夜はちょうど月食に合わせるかのように小型の低気圧が通過して行く。案の定、今空は雲だら けだ。月食の始まる時間は夜の9時45分くらいだ。まだまだ時間はある。それまでに晴れてくれれば いいのに・・・。  そして月食の始まる時間になった。しかし空は雲が多い。それでもたまに雲の切れ間からお月様の姿 が見え、とりあえず、見えた瞬間をねらって撮影した。三脚に乗っている4台のカメラも、ダメもとの イチカバチカでシャッターを開けて置いた。  しばらく時間が経ち、そろそろ皆既月食を迎えるころになった。空の雲も薄くなってハイスピードで 東へと流れていき、天気も回復してきたみたいだ。「おおー!赤い月が見える・・」感動した。  何だか風が出てきたなあー。月食もそろそろ終わりに近づいてきた。その時突然!突風が襲い掛かっ た。「うわぁー!!」、するとテーブルの上にあったメモ用紙とホールペンなど全てが吹き飛び、三脚 のカメラも倒れた。それは一瞬のことだった。もちろん倒れたカメラは撮影中でシャッターを開いた状 態のままだ。「何だこりゃー! 悪魔の風だ。」 (倒れたカメラ5台中の1台、レリーズとともにシャッターボタンが取れてしまった)  暗闇の中(といっても満月で多少は辺りは見えている)、どこに飛んだか分からないメモ用紙を私は ウロウロと探し回ったのだった。 ・・満月の夜・・・怪奇ゲッ・ショック・・
そのN 「金環日食撮影記」・・・朝起きて天気の様子はどうかな?と空を見上げた。予想通り黒い雲が覆って いた。「こりゃぁダメだな」とほとんどあきらめていた。でも世紀の天体ショー金環日食だ。もしも・ ・のこともあるので、準備だけはして近くの山ので車で出かけた。途中パラパラと雨も降り出した。  そして現地に着いた。「なんか雲が切れてきたみたい、青空も所々出てきたぞ」。のんびりとし過ぎ たのでまだ何も撮影準備はしていなく、ちょっと慌てた。「いやー時間が無い!」日食の始まる時間は すでに過ぎていた。雲の切れ間から欠けている太陽が見えた。そして、大慌てで機材を組立て撮影に取 り掛かったのだった。  余裕を持っての事前準備・・これ鉄則だね。私はのんびり屋なので、直前にならないと行動しない。  反省・・・

そのO 今年の天気はおかしい・・、10月というのに最高気温が30度と夏日になったり、曇りや雨ばかりで、 爽やかな青空になってくれない。しばらく星空も見ていない。しかし、この日は雲があるものの何とか 晴れた。生まれ故郷(実家)で久しぶりに望遠鏡(MT−200にEM−200赤道儀)を組み立て 「満月1日前のお月さまを撮ろう」と決めた。だが・・・!!ここで気がついた。「ウエイトが2つ 足らない!持ってくるのを忘れた!!」(赤道儀のバランスをとるために、ウエイトは必需品)。MT −200望遠鏡の場合は、ウエイトが合計4つ要るのだ。さて、どうしよう・・・、撮影を諦めるか、 何か方法はあるのか・・・、ここは実家だから、倉庫にガラクタ物がいろいろある。何か方法はと思い ながら探していたら、頑丈そうな布袋があり丈夫な吊下げヒモも付いている。「これはもしかして使え るかも・・・」と、袋に大きな石の塊を2つ入れてバランスをとったら、なんとこれがバッチリだった。  しかし、これはかなり危険を伴う対策だ。良い子は絶対に真似をしないで下さい。なぜなら、もし 袋のヒモが切れたら・・・、もし袋の底が破れたら・・・いっきにバランスが崩れとんでもない事態に。 慎重に望遠鏡を操作し、何とか撮影ができた。

そのP 心はずませ 渥美半島へ出かけた。久しぶりの海だ。台風2号の影響で少々海が荒れ気味。風も強い。 荒れた海と星空が撮影できるかも知れない。到着した時はすでに夜、星も見えていた。早速撮影準備だ。 カメラを三脚に取り付け海岸まで行った。カメラを設定し先ずは数枚試し撮り。シャッターを押した。 「アッ! ソフトフィルターを忘れた」と気が付き、車まで取りに行った。その距離は百メートルくらい。 フィルターをポケットに入れセットしたカメラに戻った。「アレ?  見当たらないぞ!」近くまで行ったら カメラ三脚がぶっ倒れていた! もっと近づいてライトを当てたら・・何と、大事なレンズが真っ二つに 折れているではないか? 無残な姿だった。「強風でやられた。」「カメラ本体はどうた?」。カメラの動作 を確認したところ、カメラ本体(キャノン6D)は大丈夫のようだ。しかし、レンズはお手上げだ。フルサイズの レンズはこれしか持っていない。仕方ないので今夜はAPS-Cを使うしかない。これから撮影を始めようと いうのに、「こりゃあダメだ」。ただただ海の波の音だけが・・・笑っているように聞こえた。 いままで愛用していたレンズを失った。そのショックは大きかった。 レンズの無残な姿がこの写真だ。
また、このレンズの最後に残した写真がこれだ。

(最後に一言)
星撮影は闇の中で・・・、いろいろな事があるもんだ。

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